目をギュッとつぶって苦痛に耐えるしかないのか、と諦めた時……


「ウタク様!おやめ下さい!わかりました!用意致します!」


皐月さんが大きな声で叫んだ。

ウタクの動きがピタリと止まる。


「……ふん、材料なんていくらでもあるだろう。つまらんことさすな」


卵焼きを口の中へ収めたウタクは、私から離れると気だるそうに着物を直した。


「失礼しました……すぐ用意いたします!」


皐月さんは慌てていたけれど、私を鋭く睨みつけることは忘れずに部屋から出て行った。