ウタクは聞きたいことを我慢している私に気を掛けることなく屋敷へ上がった。
私もそれに続く。
「……お邪魔します」
木目がハッキリとわかる、綺麗に磨かれた床に、そろりと足を乗せる。
木が持つ独特の冷たさと足の裏に馴染む質感が伝わった。
廊下ではウタクが通るたびに家来達が端へ寄り頭を下げていく。
長い廊下を歩き、池を横断する渡り廊下を渡りきった後、ウタクはどの部屋よりも豪華な御簾の前で止まった。
「ここが俺の部屋だ」
「へぇ……神様だから一番豪華で広い部屋なんだ。で、私の部屋はどこなの?」
「お前もこの部屋で暮らす」
「え……!?」
これから一緒の部屋なの!?

