とりあえず逃げることはできないけど、このチクチクと刺さるような視線をどうにかしたい。
「あ!ねぇ、ウタク……なんでさっきあんなに怒ったの?」
雰囲気を変えようと、ウタクが怒鳴る原因となった皐月さんの質問の意味を聞いてみた。
ウタクは細めていた目を元に戻すといつもの無表情に変える。
「皐月がなかなか飯の用意をせんから怒鳴っただけだが?」
しれっとした顔してるけど……それなら会話が切れたところで言うとか……もっと自然なとこで言えるでしょ?
なんか……不自然だったよ?
言いたいことが浮かんで、口のみをパクパクと動かす。
声が出なかったのは、これ以上聞いたところでウタクが教えてくれると思えないから。
それに意地悪言われて変なことさせられても困るし。
私は深く突き止めるのをやめた。

