「どうやらお前は気品が無くて小汚い娘らしいぞ。気分はどうだ?」
「最高に最悪」
「ふん、変な日本語だが伝わるな」
ウタクは「悪くない」と言った風に呟き、再び皐月さんへ視線を戻す。
「皐月、俺はこれを選らんだわけではない。掟のためにこれと交換条件を結んだんだ」
「しかし!ウタク様が2年以上も前から……」
「皐月!」
皐月さんの言葉にかぶせるようにウタクは声を上げた。
さほど大きくないのに鋭くて、体が凍りつきそうなほど、冷たくてとがった声。
屋敷中にいる家来が足を止めてしまうほど力を持った声。
……ウタク?
皐月さんが言おうとしたこと……何か大切なことが隠されているの?

