皐月さんは返事をせず、ウタクの背中からこっそり覗いていた私に視線を移した。
「……ウタク様、なんですか?後ろの小汚い娘は」
こ、小汚い……!?
ウタクでさえそんなこと言ってこなかったのに!
「ちょ、ちょっとアンタねぇ……!」
言い返してやろうと身を乗り出したらウタクに止められた。
「皐月、これは俺の嫁だ。それより食事の準備をしろ」
「ウタク様……その娘を庇うのですか!?」
皐月さんはウタクの命令に従わず、歪んだ笑みを浮かべる。
「飯を食いたいと言っているだけで庇うことになるか、阿呆。
だいたい皐月に俺の嫁をとやかく言う権利などない」
「いいえ、ございます。私はウタク様をずっと近くで見てきたのです。
ウタク様にお似合いであるかどうか、一番正確に判断できます」
皐月さんから絶対の自信を感じる。

