ウタクが止めたと同時に私も足を止めて、ウタクの背中からこっそり声の主を確認する。
女の善狐かと思ったらどうやら男の善狐みたい。
オレンジ色とも黄金色とも言える髪はサラサラで、もつれは一切なく腰まで伸びている。
白すぎる肌は顔色が青白くも見えるほど。
体は肉つきがなく、白い着物を着ているがすごく薄っぺらく見える。
目は糸のように細くて、目が開いているのかいないのかわからないほど。
決して美形とは言えないはずなのに、品があるように見えるのは、
スッと通った鼻と薄い唇で均整がとれているからか、それとも口調のせいか。
「皐月（さつき）か。食事の準備を整えてくれ」
ウタクは目の前の男を皐月と呼んだ。
名前まで品があるように感じる。
