ウタクについて屋敷の庭を進んでいる間、家来達にはずっと見られていた。 「あれは人間だろ?」 「じゃぁウタク様の奥様?」 「ついに!」 ひそひそと聞こえてくる。 先ほど会った女の善狐達の反応よりは優しいものだった。 ……と思えたのはこの時まで。 「ウタク様、お帰りですか?」 澄みきった高めの細い声。 水たまりに雫が落ちて波紋が広がるような静かに響く声。 その声にウタクは足を止める。