ポツ、と木の葉に何かがあたる音がした。 それはウタクの手が添えられていないもう片方の私の頬にもあたり、正体が判明する。 ……雨だ。 空は相変わらずの晴天なのに……。 「案ずるな。人であろうと狐になろうと、実雨は実雨だ」 私の心を見透かしているかのような言葉。 ウタクが言うな。 ふざけるな。 そう言いたいけれど涙が出てきたので顔を逸らし口を閉じた。 晴天の空からは、涙を隠してくれるかのように大量の雨が降り出す。