「明ちゃん… 動かないで」 聖君が髪に触れるだけで、ドキドキ… ドキドキ… 髪には感覚なんてないはずなのに… くすぐったくて、恥ずかしくて… 「取れたよ… 」 聖君の手のひらから風に乗って舞いあがった桜の花びらを本気でほしいって思った。 「明ちゃん、どうしたの?? 」 「この桜を見ると… 何故か涙が… 」 懐かしくて… 「お兄ちゃん… 」 涙と一緒にこぼれた言葉に… ハッとして両手で口を塞いだ。