陰陽(教)師

危惧することはまったくないわけだが、明菜はちらりと嵩史を見た。

一応、本人に了解を求めてからということらしい。

「別に構わないぜ」

真面目な委員長らしいやと思いつつ、嵩史はうなずいた。

「彼は猫又なの」

明菜が嵩史の正体を告げた。

「ほう、猫又」

善吉はヒゲを撫でつつ、まじまじと嵩史を見る。

『解剖されるんじゃねーだろーな…』

まさかとは思いつつも、嵩史は少し後ずさった。

妖怪が研究対象だという善吉の言葉が、何となく引っ掛かっていた。

粘菌の知識から察するに、善吉は理系の学者のようだ。

嵩史の脳裏に、多数の妖怪を標本にしている善吉の姿が浮かんだ。

「お祖父さま、いつまで日本にいるの?」

嵩史が一人想像を膨らませているとは知らず、明菜が祖父に話しかけた。

「今週いっぱいかのう」

善吉は指折りながら答えた。

「いつもは海外にいるんスか?」

「勤務先がイギリスじゃからの」

「へえぇ!」