陰陽(教)師

老人は顎ヒゲを撫でながら言った。

「だったら連絡ぐらいよこしてくれても…」

「驚かせてやろうと思っての」

「もー…」

明菜は呆れたようにタメ息をついた。

一方、嵩史は所在なさげに頭をかいていた。

「あ、ごめん」

明菜が嵩史の様子に気付いた。

「紹介するわ。あたしのお祖父さま」

「五島善吉じゃ」

善吉はニカ、っと嵩史に向かって歯を見せた。

「三池嵩史です」

嵩史は会釈を返したものの、妙な展開に戸惑っていた。

面白そうだと見知らぬ老人に声をかけたら、それが妖怪の研究者で、妖怪仲間の祖父ときた。

これは一体なんの偶然だろうか。

「のう、明菜」

善吉は嵩史を指した。

「もしかして、この男も妖怪か?」

その発言に、嵩史はいっ心臓が止まるかと思ったが、すぐに思い直した。

明菜はその先祖に五徳猫を持つ先祖返りで、彼女の曾祖母も五徳猫。

つまり善吉は、妖怪が実在すると知っているのである。