陰陽(教)師

語弊のある言い方だが、ウェイトリフティングほど注目されないと言いたいのだろう。

「それらを踏まえてパワーリフティングを選択したのなら、賢いやり方だと思ったのさ」

大吾はへの字に結んでいた口を、笑いの形に変えた。

「さすがですね」

晴明の指摘は的を得ていたらしい。

「さすが安倍晴明(あべのせいめい)」

「安倍晴明(あべはるあき)だ」

晴明はやんわりと否定した。

「ね、あたしが言った通りでしょ。すごいんだ、晴明先生って♪」

鈴子が割り込んできた。

妖怪(鈴子はほぼ人間だが)同士で、新しい副担任についてあれこれ話はしていたらしい。

「あたし先週『活動』について行ったんだけど、先生すんごく強いの!」

まるで自分の話のようにまくしたてる鈴子を、携帯の着信音が遮った。

その携帯の持ち主は、晴明であった。


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晴明の携帯が鳴る30分ほど前。

三池嵩史は学校の裏山にいた。