陰陽(教)師

そんなわけで、寒風吹きすさぶこの屋上までついてきて、やいのやいのと騒いでいるのである。

ああ、悲しき乙女の空回り。

「ねぇ、先生」

鈴子が何か言いかけたその時、屋上のドアが開いた。

そこに現れた人物に、鈴子は鋭い視線を飛ばす。

「ちょっと、来るの早過ぎ!」

「やかましい」

晴明はファイルで鈴子の頭を小突いた。

「ひどーい!」

ぎゃあぎゃあ喚く鈴子を無視して、晴明はドアの前に立つ人物に視線を向けた。

「悪いな、昼休みに来てもらって」

「いえ、別に」

話しかけられた人物は淡々と答えた。

「要(かなめ)大吾」

晴明はファイルにあった名前を読みあげた。

「はい」

人物はうなずいた。

身長は2メートル。

縦だけでなく、横幅も厚みも規格外にデカい。

そして坊主頭と柔和な眼差し。

朝に2tトラックを持ち上げた、あの学生に間違いなかった。

「先週まで学校を休んでいたのは、大会で遠征していたからか」