高さだけでなく、厚みもある。

詰まった肉で、学生服は今にもはち切れそうだ。

「脱輪ですか」

壁、いや学生はもう一度言った。

「ああ、そうなんだけど…」

ドライバーは、自分より30センチほど上にある顔に向かって答えた。

でかい。

体だけでなく、顔も、である。

幼児が一抱えできるほどに見えた。

坊主頭で、口は真一文字に結んでいる。

一重で、細目であったが、柔和な眼差しを持っていた。

「手伝ってくれるのかい?」

学生の眼差しを見たドライバーは、そう言った。

自然とそんな気がしたのである。

「タオル」

学生がつぶやいた。

「タオルありますか」

「ああ、うん」

ドライバーはただ言われるがままに、助手席から窓拭きに使っているタオルを持ってきた。

学生はそれを受け取ると、肩に提げていたスポーツバックをおろし、トラックに歩み寄った。

タオルを広げ、そのままトラックの荷台の縁に手をかける。