陰陽(教)師

嵩史は大吾の話が信じられないようであった。

「秋田の薬は明治時代に県から表彰されたそうだ。痛風の薬が商標登録されてたこともある」

「河童って回転寿司だけじゃなくて、薬のキャラクターでもあったのね」

「そういう事だな」

大吾は鈴子の言葉にうなずくと、そのまま庭へと降りた。

「ちょっと要、何をする気?」

一方、庭では川太郎と力士(式神)が向かい合っていた。

川太郎の左手は、完全に蘇生していた。

「土俵は無しでもいいか?」

晴明が訊くと、川太郎はうなずいた。

「ぶん投げた方が勝ち。それでかまわん」

「わかった」

晴明の返事と同時に、力士が腰を落とした。

それを受けて、川太郎も体勢を低くする。

晴明らは2人…いや1匹と1体から離れた。

それと入れ違いに、巨大な影が晴明らの横を通り過ぎる。

次の瞬間ぐしゃり、と紙を握り潰す音が響いた。

大吾が、その大きな手で力士の頭を引きちぎっていた。