陰陽(教)師

川太郎はそう言いながら、再び左腕を掲げた。

「だが、このままでは相撲はとれん」

「それはそうだ」

晴明は善吉を見た。

「五島先生、左手を」

善吉はうむ、とうなずくと、川太郎の左手が入った箱を手にして、庭へと降りた。

「川太郎、安倍先生の言ったように、今後は一切悪事をしないと約束するか?」

善吉は箱を手に、そう迫った。

「わかっている」

川太郎は横柄にうなずいた。

「そこの陰陽師との勝負に負けたら、尻子玉も返すし、悪事をしないとも誓う」

「待て、それは…」

「構いませんよ」

晴明は善吉と川太郎の間に、冷静な声を挟んだ。

「川太郎は約束を守っていたと言うんですから、こちらも筋を通しましょう」

「先生がそう言うのならば…」

善吉はうなずいた。

もとより、今回の件はすべて晴明に任せると言ったのだ。

善吉は川太郎に箱を差し出した。

「話のわかる奴がいて良かったぞ」

川太郎は善吉から箱を受け取った。