陰陽(教)師

晴明は型紙を左手に持つと、右手の人差し指と中指を立て、印を結んだ。

「御(オン)」

短くそう唱え、型紙を宙に放る。

地に着いた時、型紙は筋骨隆々とした力士へと、その姿を変えていた。

身長2メートル、体重100キロは下らないと思われる巨体。

大銀杏にまわし姿。

しかし目鼻口はなく、髪も肌も紙の如く真っ白。

まるで紙人形がそのまま人の姿を成したように見えた。

「式神か。久しぶりに見たわい」

善吉は興味深げに、ヒゲを撫でた。

式神は、陰陽師が操る下級の鬼神で、様々な姿をとることができる。

そしてその能力は、術者の霊力によって決まるという。

「俺はこの式神を使う。川太郎よ、つまりお前の力と俺の霊力の勝負というわけだ」

ぱぁん、と大きな音がした。

力士姿の式神が両手を打ち鳴らしたのであった。

そして右足を高くあげ、四股を踏む。

「面白い」

川太郎は弾むような口調で答えた。

「その勝負、受けたぞ」