陰陽(教)師

嵩史が驚いて訊いてきたが、晴明は

「想像してみただけだ」

とあっさり言い切った。

「おい、先生…」

嵩史は不信感たっぷりの声を出したが、炎とぶつかった時の反応を見る限り、間違いとも言い切れない。

だが晴明の関心は、川太郎の妖術から明菜が操る炎に移っていた。

「五徳猫が火吹き竹を使って炎を起こすことは知ってたが、目の当たりにしたのは初めてだ」

その威力たるや、まるで動く火炎放射器ではないか。

加えてその火吹き竹を自在に伸縮させ、武器として使う明菜のセンス。

「頼もしい委員長だな」

晴明は善吉に聞こえない声で言った。

『お孫さんは戦闘向きですね』

そんな台詞、実の祖父に聞こえない方がいい。

「なぜ邪魔をする!?」

川太郎が、明菜に向けて苛立ちに満ちた声で叫んだ。

「オレは約束通り、酉の刻に来たんだぞ!?早く左手を返せ!!」

「黙りなさい!」

川太郎の怒声を、明菜は凜とした口調で弾いた。