陰陽(教)師

川太郎は空中で体を一回転させると、明菜の背後に降り立った。

その距離約2メートル。

川太郎の左腕が縮み、反対側の右腕が伸びた。

「危ねぇ!」

嵩史が叫ぶのと同時に、川太郎の右手が明菜に迫る。

だが明菜の体に触れる寸前、その手は弾かれた。

「なんだ?」

鈴子に抱き抱えられた状態のまま、嵩史は目を丸くした。

否、目を丸くしたように見えた。

なにせ姿形は猫そのものなので、はっきりとはわからない。

「なんか、見えない力で弾かれたように見えたけど?」

首をかしげる鈴子の前に

「これだ」

大吾は己の大きな手を突き出した。

その手の中にあったのは、先ほど晴明が配った短冊だ。

当然、今の明菜も身につけているはずだ。

「要はその歌のことを知ってたか」

晴明は笑みを浮かべた。

「歌ってなぁに?」

「そこに書いてあるのはな、河童除けの歌なんじゃよ」

鈴子の問いかけに答えたのは善吉だ。

「河童よけ?」