陰陽(教)師

孫娘の問い掛けに善吉が答えようとした時、

「ちょっと待て!」

嵩史が不満げに頭を持ち上げた。

「オレの分が無いんだけど!?」

短冊は4枚。

確かに嵩史の分が無い。

「三池はもう尻子玉を抜かれてるから、必要ないだろう」

晴明は、にべもなくそう言った。

「どういう事だよ?」

晴明の返事はなかった。

「先生?」

「静かに」

晴明は耳を澄ますような仕草をした。

「結界の中に入ってきた奴がいる」

いつの間にか晴明は、この家に結界を張っていたらしい。

晴明のいう結界とは、人を寄せ付けないようにする結界だ。

「結界の中に入ってきたってことは…」

鈴子がごくり、と唾を飲んだ。

善吉は、部屋の壁時計を見た。

「午後6時…酉の刻じゃな」

晴明が天井に視線を飛ばした。

「天井(うえ)だ」

「天井(うえ)ですね!」

そう叫ぶと同時に、明菜は右手を掲げた。

すると、彼女の右手の中に竹の棒が現れた。