陰陽(教)師

「それは同感じゃが…何か考えでもおありですか?」

善吉の口調が改まったものに変わった。

「はい。今度こそ約束させればいいんですよ、二度と悪さをするなとね」

「…できますか、先生」

「陰陽師として、そのための術(すべ)は身につけているつもりです」

「わかりました」

善吉は姿勢を正すと、畳に両手をついた。

「身内のことを知ろうと飛び込んだ学問の道ですが、今回のようなことになるとは思いもしませんでした」

「お祖父さま…」

明菜が気遣うように祖父を見る。

明菜の曾祖母は明菜と同じく、先祖返りの五徳猫だったという。

つまり善吉の母である。

善吉が民俗学の第一人者となったきっかけは、母の存在があったのだ。

そして孫娘も先祖返りとして生まれた。

善吉はますます研究の必要性を感じただろう。

しかし、その思いが今回の事態を招いた。

口にこそ出さないが、善吉の今の胸の内は推して知るべし。