陰陽(教)師

「肉球があったから揉みながら考えたんだけど」

「まず肉球ありきかい」

嵩史のツッコミが入ったが鈴子は構わず続けた。

「その武士って、手が見つかった旧家のご先祖様だよね」

「そうじゃ」

善吉がうなずいた。

「なんで永久に悪さするなって言わなかったのかな。500年て限定しなきゃならない理由、ないじゃん?」

一瞬の間が空いた後、全員が

『そう言われれば』

という顔をした。

「すぐに手を返すというのに、抵抗があったんじゃないかしら?」

答えたのは、明菜だ。

「河童が約束を守るとは限らないわけだし」

「でも古文書を信じるなら、川太郎って河童は言われた通り悪さをしなかったんでしょ?」

「約束を守るかどうかなんてのは、初対面じゃわからないわよ」

「あ、そうか」

鈴子は合点がいったという表情で、右人差し指を口もとにあてた。

「いや、お前すごいぞ、リン」

やおら晴明が言った。

「先生、いまリンって呼んだ!?」