陰陽(教)師

「その川太郎はなぜ、500年もたってから手を取り返しに来たの?」

当然の疑問である。

「この話にはまだ続きがあるんじゃ」

善吉は古文書を掲げた。

「武士は、川太郎の手を家に持って返ったんじゃが…」

夜になり、武士が家で一人くつろいでいたところ、「もし…」と庭の方で武士を呼ぶ声がする。

庭に出てみると、一匹の河童が跪いていた。

河童は川太郎と名乗り、昼間に切り落とされた左手を返して欲しいと願い出た。

しかし、武士はそれはできないと突っぱねた。

左手を返せば、また悪さをするかもしれないと考えたからである。

だが川太郎はそこを何とかと懇願した。

武士はまた突っぱねた。

そんなやり取りを何回か繰り返し、武士はついに根負けした。

ある程度の期間、悪事を働かなければ、手を返そうと提案したのである。

「期間とはどれほどでございますか」

川太郎にそう訊かれ、武士は考え込んだ。

1日2日では意味がない。