陰陽(教)師

三千坊がなぜ道真の命を救ったのか、また切り落とされた手がなぜ天満宮に所蔵されているのか。

そのあたりの詳細は不明であるが、三千坊の手のミイラは、1000年以上たった今でも、その姿を残している。

「じゃあこれは、三千坊とやらの手か?」

嵩史は座布団から顔だけを起こした。

「話の流れ的に、そっちじゃないでしょー☆」

鈴子が嵩史(しつこいようだが猫)の喉を、ほりほりと撫でた。

「やめろ!」

嵩史は噛みつこうとしたが、それよりも先に鈴子は手を引っ込めた。

「この手は、川太郎の左手じゃ」

晴明から箱を返された善吉が言った。

「川太郎って、あの河童のことよね?」

明菜の問い掛けに、善吉はうなずいた。

「なぜお祖父さまがあの河童の左手を持っているの?」

「順をおって話そう」

せかすような明菜を手で制すると、善吉はゆっくりと語り出した。

「この手が見つかったのは、九州のとある旧家じゃ」