陰陽(教)師

『五島』と大書された表札がかかる門の前にタクシーが停まると、晴明は財布を取り出した。

「お代は結構です」

運転手はそう言って後部ドアを開けた。

「五島家の方からすでに頂いておりますので」

そう言われてはと思い、晴明は財布をしまうと、タクシーを降りた。

走り去るタクシーを見送った後、晴明は荘厳というしかない黒塗りの門構えを眺めた。

白壁に囲まれた平屋の日本家屋は、屋敷と呼ぶにふさわしい規模を誇っている。

五島家が杉沢市屈指の名家という事実を、晴明は改めて実感した。

門をくぐって飛び石を踏んでゆくと

「先生」

途中で明菜が、晴明を出迎えた。

「悪いな、車を呼んでもらって」

晴明が学校を出ようとした時、善吉から電話がかかってきた。

出迎えのタクシーを寄越したというのだ。

職業倫理上、いかがなものかと思って、矢尾に相談したところ

「五島家の好意は受けておきなさい」

と、ふくふくと笑った。