陰陽(教)師

河童は祖父に左手を返せと言った。

明菜はその事が気にかかっていた。

「それなんじゃが…」

善吉は帽子を取って、頭をかいた。

「話せば長くなる。一度、家に戻らんか?」

善吉の提案に、一同は顔を見合わせた。

「すみません五島先生、生徒たちには午後の授業がありますので」

晴明がそう言うと、善吉はおお、と手を打った。

「それなら放課後にしよう。見せたい物もある」

「でもお祖父さま、あの河童が…」

「大丈夫。奴が家に来るのは酉の刻じゃ」

「酉の刻って?」

鈴子が首をかしげた。

「酉の刻は昔に使われた時刻で、今でいうと午後6時から8時の間だ」

晴明が時計を見ながら言った。

そろそろ昼休みが終わろうとしている。

いつまでもここにいるわけにはいかない。

「オレはどうすりゃいいんだよ」

大吾に首根っこをつかまれたまま嵩史が言った。

「こんなカッコで学校には戻れねぇぞ」

「ならお前だけ先に家に来い」