陰陽(教)師

ヒゲを撫でながら、善吉が答えた。

「河童はその尻子玉を抜き取る力を持つ。尻子玉を抜かれた者は、フヌケになってしまうんじゃ」

「今の三池みたいな状態だね」

鈴子はそう言いながら、嵩史(この場合は猫)の前足を手に取った。

「こらこら、肉球を揉むな!」

「いいじゃん、減るもんじゃないし♪」

鈴子は嵩史の抗議を、全く意に介さなかった。

「ちくしょー、せめて体が動けば…」

「油断したお前が悪い」

大吾はぶっきらぼうに言ったが、嵩史をつかんでいた手を高くあげ、鈴子から逃がしてやった。

「油断してねぇよ」

嵩史は大吾を睨んだが、口調は強くなかった。

一応、感謝しているのだろう。

その一方で鈴子は嵩史(この場合は猫)に触ろうと飛び跳ねている。

「まさか河童の腕が伸びるなんて、思ってもみなかったんだ」

嵩史はそれ故に不意を突かれたと言った。

「河童の両腕の骨は、つながっているんじゃよ」