ケンカにさえならない彼に、あたしは背を向けて、自分の言葉さえ取り消せなかった。後悔だらけの醜い感情の中で、それでもこんな日がいつか来るのが分かっていた気がする。 「馬鹿ね、あたしってば」 吐いた息は白い。 落ちた言葉は一緒に溶ける。 好きだ、と伝えれば良かった。 元夫にも、 スグルさんにも。