「…リング?」 スグルさんが今気付いたように長くて繊細な指先をクッと握った。 愛しさの滲む瞳は確かにあたしに向けられているのに、 「外さない」 何のぶれもない口調があたしを叩きのめす。 「未練がましい、と言わないで欲しい。僕はずっと奥さんが忘れられない」 少し照れたようにはにかんで、サラリとそんな言葉を吐く。 あなたはなんて残酷な人。