スグルさんが今気付いたようにリングに視線を移して、ゆっくり笑う。 「いないよ。今は。それより僕は君が良い。君に触れたい」 狂おしい程の激情を込めて揺れる事なく放たれた言葉は、あたしの理性を難無く崩してしまった。 無理、だ。 抗えない。 駄目だ、と頭が危険信号を出しても。 浮かされ続ける恋の波がとめどなく押し寄せる。