「…行こう」
空いた間を埋める事なくスグルさんの口から出たのはそんな言葉。
「え?」
と疑問が出たと同時に腕を引き上げられて、腰に手を回される。いやらしさのカケラもなく、むしろ紳士的に。
いや、ちょっと、待って、
「君の言葉を借りれば、『雷に打たれた』そんな感じだ」
あたしを見ないスグルさんの表情は読み取れないのに口調に熱が篭って訳が分からない。
ヤスちゃんが嬉しそうに手を振っている。
タクシーを拾うのさえ優雅で、突っ込み所満載なこの状況にあたしは「え?は?なに?」と馬鹿みたいに慌てていただけだ。

