「寂しいですよねー。酔えなくなったら歳なのかな。26にもなって女独りでイカかじりながらアルコール」
「いいんじゃない?」
何となく口調も素っ気ないけど気にしない方向で!
「20代になる前は良い女に憧れてたんですよねぇ、漠然と」
ブランド物をさりげなく着こなして、ハイヒールで難無く姿勢よくツカツカと歩く。どこにも隙のない、それでいて視線を引く雰囲気を持つような、そんな女の人。
根本的に、なれる筈が無いのかもしれないけど。フゥとため息を零せば、スグルさんがクスっと優しく笑う。
「良い女だよ、僕にはそう見える」
蕩けそうな笑みは、決してお世辞を載せた口調じゃなくて、無意識に頬が熱くなった。
「自分の視線で物事を見られる、気負わない、自然体でいられる。そんな人だと思うけど」
さりげなさすぎるその口調が、あたしの胸を揺さぶるのは容易い。
もう、この人ってば、なんて人だ。

