『えっ?そうなの!?』


『うん。消えるまで後…5分か…』

荷台に座る雪葉は、自転車の前に立つ俺の肩に頭をもたれかけた。


そして東京タワーの明かりが消えた。


『き、消えた…雪葉、明かりが消えたね…』

俺は雪葉の顔を覗き込んだ。


雪葉は少し微笑みながら目を閉じ、頬を涙が伝っていた。


『雪…葉…雪葉!?』

俺は雪葉の体を揺すった。


『雪葉!!』

俺は冷たくなった雪葉をギュッと抱きしめ、大声で叫んだ。


この声が枯れるほどに…


何度何度も…


目を開けない雪葉の名前を


呼び続けた。