『優人…』


俺は涙ぐむ雪葉にそっと手を差し延べた。


『えっ…?』

雪葉は一瞬戸惑った表情を見せたが、すぐに俺の手を握りしめた。


『行こう!!雪葉はまだ生きてるって、教えてやるよ』

俺は近くに止めてある自転車に乗り、後ろに雪葉を乗せ雪の中を走り出した。


『優人…どこに行くの?』

俺の背中にしっかり捕まる雪葉が尋ねてきた。


『俺…雪葉の笑った顔が好きだから…だからお前の涙を止めたいんだ』

俺はそれだけ言って、その後は何も会話を交わさなかった。


そして会話のないままたどり着いたその先は、真っ白な雪の中で輝く天高く空を見つめる東京タワー。