Snow Song-君といた輝雪-

『待って…優人!!』

雪葉のその言葉に俺は驚いた。


何がって…


雪葉が初めて俺の事を“君”で呼ばなかった。


初めて名前で呼んでくれた。


『な、何だよ?』

名前で呼ばれた俺は軽く笑みを零しながら、雪葉の方へ振り返った。


俺が見つめるその先の雪葉は、降り出した雪に包まれてまるで雪女みたいだった。


俺が見つめる雪葉は、突然目を閉じ自分の頭に両手をやった。


そしてその後、俺は驚愕の光景を目にした。


『ゆ、雪葉…』

俺の声は震えていた。


雪葉は頭にやっていた両手を下ろした。


『今優人が見た通り…。あたしは…あたしは…白血病なの。だから、抗がん剤の影響で今はカツラを被ってる』

雪葉は静かに話した。