『えっ!?何コレ…』

俺は10円玉を受け取った。


『君の今の歌は他人の歌。だから君の歌以外にはお金は払いたくない…だけどその10円はあたしのささやかな気持ち。この10円の0をいつか、いっぱいに増やせるように頑張って』

雪葉はそう言って笑いかけ、目の前から去って行った。


10円の0を…


いつかいっぱいに…頑張れ。


雪葉が何気なく言ってくれたその言葉が、何だか凄く嬉しかった。


そして俺は以降、本気で音楽を頑張れた。


そして雪葉がくれたこの時の10円玉が、いつの間にか俺にとっての支えになっていたんだ。