Snow Song-君といた輝雪-

俺は泣いている夏稀を近くのベンチに座らせた。


そして俺は何も聞かず、ただ泣いている夏稀の隣に座っていた。


しばらくすると、夏稀は少し落ち着いたらしく泣き止んだ。


『泣きたい時はさ、重いっきり泣けば良いんだよ。それで重いっきり泣いた後は、自然と重いっきり笑えるからさ』

俺は涙を拭う夏稀に優しく言った。


『優人…ありがとう』


『ううん。っていうか、ごめんね…俺がヘタな歌を歌ったせいで、余計に夏稀を泣かせちゃってさ』


『ううん。優人の歌が心に響いたから…余計に涙が止まらなくなったんだよ…』

夏稀はそう言って、俺に笑いかけてくれた。


俺はこの時、夏稀を抱きしめたかった。