Snow Song-君といた輝雪-

夏稀は俺に気付き、慌てて涙を拭った。


俺は夏稀だけのために…

夏稀の涙を止めるために…


元気の出る曲をギターで弾き語った。


少し離れた所にいる夏稀に、この歌が届くように…


泣いている夏稀の心に届くように…


精一杯の思いを込めて歌を捧げた。


夏稀の涙を止めるために歌ったはずなのに…


俺の歌は余計に夏稀を泣かせてしまっていた。


夏稀は泣きながらその場にしゃがみ込んだ。


俺は演奏をやめ、ギターを置いて夏稀に駆け寄った。


『夏稀…大丈夫か?』

俺は夏稀にハンカチを手渡した。


『ごめんなさい…ごめんなさい…』

夏稀はただ謝ってばかりだった。