Snow Song-君といた輝雪-

『おっ、兄ちゃん。ギター漫談でもしてくれるのか?』


夜の駅前だけあって酔っ払いが声をかけてきた。


『えーっと、歌い屋です。1曲いかがですか?』


『はあ?歌い屋?…じゃあよ、今日上司に怒られたんだよ。だから、何か歌って忘れさせてくれ』


『わかりました。じゃあ…この曲で』

俺は酔っ払いのために励ましの歌を弾き語った。


『…以上です』


俺が歌い終わると酔っ払いはふらつきながら拍手をくれた。


『兄ちゃん、なかなか良いぞ…お陰で明日も頑張ろうって気になれたよ』

酔っ払いはそう言って、千鳥足で去って行った。


『よし、まずは一人目の心を救ったぞ』

俺は凄く嬉しかった。