『ふーん、まあまあだね』

雪葉は拍手すらしなかった。


まあまあって…普通お世辞でも良かったって言うだろ…


俺は軽くショックだった。


『君は自分のオリジナル曲はないの?』


『えっ、えーっとない…』


『ふーん、人の曲歌ったってつまんないでしょ?』

雪葉のその言葉が俺の心にグサッと刺さった。


『君はミュージシャン目指してるんでしょ?だったら自分の曲ぐらい歌わなきゃ』


『やっぱ自分の曲を歌わなきゃダメだよな…』

俺は考えこんだ。


俺が考え込んでいると雪葉の携帯電話が鳴った。


『まあ、ゆっくり自分の曲作れば良いんじゃないの…じゃあね』

雪葉は俺の肩を軽くポンポンと叩いて、さっさと去って行った。


雪葉の言葉を噛み締めながら、俺もギターを片付け、暗闇の中をさっさと家に帰った。