優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

基槻のお母さんは可愛く笑って、「はじめまして」と、私のお兄ちゃんに頭を下げた。

お兄ちゃんも慌てて下げ返していると、職員室に繋がる校長室の扉が開いた。

私たちが一斉に向くと、校長が「処分が決まりました」と一息、吐いた。



「男子生徒は2週間の停学。
片桐さんは、卒業された中学に事実確認も済ませ、残念ながら…退学と決めさせて頂きました」



俯く葵衣に、同情の言葉はなく、「当然だ」という、京滋君の声が掛けられた。

舞子ちゃんが心配そうに私を見て来る。

担任の先生も、“これで良いの?”と言いたそうな顔。

私は、「葵衣からの謝罪が聞きたいです」と呟いた。