優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

「ねぇ、遊?こんな事されたくないなら、基槻を譲ってよ!私って、優しいと思わない?こんな簡単な選択肢をあげて(笑)」



葵衣は強かに笑いながら私を見下ろして居る。

けど、負けない――。

私は首を振り、「基槻は離さないから」と告げ、教室を出た。

葵衣は多分、キレたと思う。

でも、基槻を葵衣に奪われるよりも、自身がイジメられる方がマシだと思った。

だから、それで良い…―
これで良かったんだ…――。

―――葵衣の気も、これで晴れてくれたら、それで良い。

イジメがイケない事だと気付いて欲しい。

だからこそ、思う存分、私にぶつかって来て良いよ。

相手が葵衣なだけ、良かったと、信じてる。

何がどうなっても、葵衣は私の……親友だったんだから。