基槻たちに見守られながら教室に入ると、葵衣や葵衣の友達に睨まれた。
葵衣の席が目の前なのが厄介。
私は一旦、教室を出て、予鈴のチャイムが鳴るまで、廊下で1人、時間を潰した。
休み時間は基槻たちの所へ行く。
しかし、荷物を置いたまま行ったのが、間違いだった…――。
体育の時間、自分のロッカーを開けると、切り刻まれた体操着。
ただ切り裂かれただけなら未だしも、切り刻まれたらどうしようもない。
私は周りの視線を感じながら、クズとなった体操着をかき集め、ゴミ箱に捨てる。
涙を堪えて、ゴミ箱とロッカーを行き来し、ロッカーの前にしゃがんだ私に、人形(ひとがた)の影が落ちた。
振り返ると、葵衣が居た―――。

