優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

「教室…行こっか;;」



私は葵衣を引っ張り、教室へと向かう。

忘れてた…ライバルがすぐ目の前に居たなんて…―
忘れてた…自分で基槻との関係を隠してたなんて…――。



「あ、深川君!」



葵衣は階段を登ってすぐ、基槻の存在に気付いた。

私を引っ張りながら、基槻に近付いて行く。



「私ね、昨日、告白しようとしたのに、早退されちゃった…(笑)」



…告白…?

葵衣は百戦錬磨。

タイムリミットは…寸前かも知れない。

基槻だって、葵衣を選ぶに決まってる。



「深川君、おはよー!」



葵衣は基槻に声を掛けた。

基槻は横目で私たちを見た。



「「えっ!?隣、誰!!」」



基槻の友達2人がいち早く反応したものの、私に視線が向けられた。