優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

大きいのに、ゴツゴツしてなくて、私の手とキュッと相性良く絡む。

ホッとする。

おじいちゃんやおばあちゃんみたいな、優しい手。

私は彼に歩幅を合わせながら、
家路を目指す。

私の家は、電車通学の彼にちょうど良いかはわからないけど、学校と駅の中間。

歩いて10分も掛からないのだ。



「あ、ありがとう…」



私は家の前に着くと、パッと深川君の手を離した。

お兄ちゃんに見られたくないし。

お兄ちゃんは私と違い、顔立ちが良く、オシャレ。

両親が居ない事を感じさせない位に、良くしてくれる。

おじいちゃんとおばあちゃんが事故で亡くなって、早2年、お兄ちゃんが居たから、私はこうして無事に学校へ通えてる。