優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

…お兄ちゃん、来てくれたんだね…。

私は和人さんと足並みを揃えながらも、ブーケを持つ手を、目頭に当てた。

…“泣くな”って、無理だよ。

お兄ちゃんが来てくれて私、凄く嬉しいんだよ…?

嬉しくて泣いちゃうよ…。



「幸せにな」



「ありがとうございます」



和人さんから基槻へと、私の手が移される。

お兄ちゃんが居るのがわかってるかのように、和人さんは、1人分のスペースを開けて、最前列の座席へと腰を降ろした。



「コレヨリ…―――」



イタリア人という神父さんが、式を始める。

私は深呼吸をして、涙を落ち着かせた。