舞子ちゃんたちは、「先に行ってるからね」と、控え室を出た。

担当者の春川ーハルカワーさんや、他のスタッフさんと廊下を歩く。

両親と葵衣を、私は招待した。

申し訳ないけど、一番、後ろの席なんだけどね…。



「遊ちゃん、綺麗だよ…」



「和人さん。今日はよろしくお願いします」



私とバージンロードを歩いてくれるのは、替え玉のスタッフさんではない。

―――お兄ちゃんの親友である、和人さん。

お兄ちゃんの夢を叶えるのは、和人さんじゃないとね。



「あのさ…俺が風の写真を持ってて良いかな?」



「え…?」



「そのー…緊張するから」



私は初めて見る和人さんの引きつった笑顔に、笑いが溢れた。