基槻はジュエルケースを私の手から取ると、鞄へとしまった。



「遊?」



「はい……っ」



基槻の真剣な顔に、ドキッとした。

ペアリングを貰った時よりも…。



「俺はまだまだな男で、介護士として立派な遊とは違って、見習いの美容師だけど、愛してる」



…基槻…。



「だから、結婚しないか?
風君に、幸せを見せてやらないか?」



「…うん…っ……」



…ダメっ。

ちゃんと言わないと…。



「結婚…して下さい…」



私は基槻の手を握ったまま、深く頭を下げた。



「私も…っ…もと…基槻を愛してる……」



この先も、こんなにも人を愛すのは、基槻だけなんだ―――……。