優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

やっと目と目が合うと、「風君の夢」と、呟いた。

…お兄ちゃんの夢?



「知ってるの…?」



私はお兄ちゃんの夢を知らない。

聞いてたとしても、私はきっと忘れてる。

私はお兄ちゃんの見せたたくさんの表情と、“遊は笑ってた方が言い”と、言われた事ばかり覚えてるんだ。



「ん。和人さんが言ってたけど、遊とバージンロードを歩くんだと」



「…っ」



私の胸が震えた。

じわじわと涙が込み上げる。

“遊とバージンロードを歩く”。

お兄ちゃん…―
何でお兄ちゃんは、私の事ばかりなの?

私はお兄ちゃんの、袴やタキシード姿が見たかったよ…。