優しい風〜隠れ美少女の初恋〜【完】

車が停まり、私は手を離してシートベルトを外した。



「綺麗だねー」



店脇に植えられた、花が咲き誇った桜の木がライトアップされて居た。

「行くぞ」と掴まれた手を両手で握ってついて行く。



「いらっしゃいませ、深川様。来島様(笑)」



お店に入ると、わざとらしく出迎えてくれた舞子ちゃん。

私は手を振り、「久しぶり!」と近付いた。

かれこれ2、3ヵ月ぶりの再開。

舞子ちゃんが、胸元についたマイクで何かを囁くと、お膳を運んで居た京滋君が、商品を出すと、足音を起てないように走って来た。



「久々ー!」



京滋君は私と基槻の肩を叩きながら、歓迎してくれた。